「昨日、ちゃんと共有したよね?」が通じない職場
「そんな話、初耳です」
業務の引き継ぎ、施策の開始、新メニューやキャンペーンの告知…。
どんな職場でも「情報共有」は必要不可欠です。
しかし、どれだけ丁寧に伝えたつもりでも、伝えた内容が相手に届いていない、あるいは忘れられてしまっているという経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。
もくじ
管理職や本部担当者の立場からすれば、「ちゃんと伝えた」「共有済みのはず」という思いがあります。
ところが、現場のスタッフは「知らない」「聞いていない」と反応する。
このギャップは、決してお互いの怠慢ではなく、情報の流れ方そのものに原因があることが多いのです。
情報が「伝わる」と「届く」はまったく違う
多くの職場では、すでにチャットツールやメール、掲示板、共有ドライブなど、さまざまな手段を活用しています。
特に近年では、LINE WORKSやSlack、Teamsといったチャットアプリを導入する企業も増え、「連絡手段がない」という状況はほとんどなくなりました。
それでもなお「伝達ミス」や「情報の行き違い」が起きてしまうのはなぜでしょうか?
答えはシンプルです。
それは、情報が届いても、そのまま受け取られないから。
私たちは毎日、大量のメッセージや通知を受け取っています。
その中から本当に重要な情報を見つけ出すには、受け手が意識的に目を通す必要があります。
しかし、業務中のスタッフがそこまで気を配れるかというと、なかなか難しいのが現実です。
特に飲食の現場では、スマホを確認する時間すら限られていることが多く、あとで見ようと思ってそのまま忘れられてしまうケースも多々あります。
「情報が流れる設計」が起こすすれ違い
情報が届かない職場には、いくつか共通点があります。
- 情報がタイムライン形式で流れていく(チャットや掲示板)
- 投稿が多すぎて、重要な情報が埋もれてしまう
- 誰宛ての情報なのかが曖昧(全体連絡と個別連絡の区別がつかない)
- 内容が長すぎて読む気にならない
- ファイルやマニュアルがバラバラな場所に保存されている
こうした「設計上の問題」によって、本来なら有効なはずのツールが、“情報の届かない道具”になってしまうのです。
現場の人に「情報を確認してほしい」という思いがあっても、その情報がどこにあるのか分かりにくく、読みにくく、気づかれなければ意味がありません。
情報が整えば、働く人の気持ちも整う
情報共有は、単なる「業務のための手段」ではありません。
きちんと情報が伝わる組織には、いくつかの変化が現れます。
- 業務ミスが減る
- 時間のムダが減る
- スタッフ間の信頼感が増す
- 不満が減り、離職が防げる
- 会社への帰属意識が高まる
特にスタッフ数が多い現場では、「情報を知らされていない」という感覚が孤立感や不信感に繋がりやすく、結果として離職の引き金になることもあります。
逆に言えば、情報が行き届く職場は、それだけで“働きやすい場所”に近づくのです。
情報共有の「型」を見直すタイミングかも?
「ツールは導入したし、頑張って発信しているのに…」
そう感じているなら、ツールの使い方や情報の見せ方を見直す時期かもしれません。
本当にその投稿、読まれている?
誰に向けた情報か、明確に伝わってる?
情報の重要度に応じて、見せ方を変えている?
これらを考え直すことで、情報設計そのものの見直しが必要なことに気づくケースも多くあります。
情報の伝わり方が「人間関係」にまで影響する時代
少し意外かもしれませんが、社内コミュニケーションの設計は、人間関係そのものにも大きな影響を与えます。
たとえば、社内で「ありがとう」を伝え合う文化が根づいている職場では、自然と離職率が下がり、トラブルも減るという調査結果があります。
業務連絡に加えて、感謝や称賛、ちょっとした気づきをやりとりする文化があることで、会社全体が「人が人をちゃんと見ている」場に変わっていくのです。
だからこそ、「ただの伝達手段」ではなく、“温度感のある情報のやりとり”を設計できるツールや仕組みが、これからますます重要になってくるでしょう。
情報の「通り道」は、人の「働きやすさ」に直結する
企業の成長や、現場の安定、スタッフの定着。
どれも一朝一夕に叶うものではありません。
ですが、日々の「情報共有の質」を高めるだけでも、職場には確実に良い変化が訪れます。
今、「情報はちゃんと届いているか?」と自社の仕組みを見直してみることが、働きやすさの第一歩になるかもしれません。